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2012年2月15日 (水)

ソデグロヅル(2)〜何食べてるんだろう?

Siberian_crane_02昨年12月に印旛沼(千葉県)の近くに飛来したソデグロヅルの話題、世界的珍鳥ってどのぐらい珍しいの?〜ソデグロヅル(1)に続いてその(2)です。

●何を食べているか

多くの方が今回の個体を観察・撮影されたと思いますが、何を食べていたでしょうか。

ソデグロヅルの食性について文献の記述を探してみると、雑食性とありますが、越冬期については、たいていの文献が、インドでの生態を報告した1970年代の論文を引用して、水底の植物の根などの植物質をおもに食べているとしています。越冬期の観察例はこのインドでのふたつの論文ぐらいしかないようです(Sauey, R. T. 1976. The behavior of Siberian cranes wintering in India. In: J. C. Lewis, (ed.) Proceedings International Crane Workshop 1975. Oklahoma State University Publishing and Printing. pp. 326-342.; Spitzer P. , (1979), The Siberian Crane at Bharatpur, Colorado State University Printing Services. )。

さて我々の鳥は植物質を食べていたでしょうか。私が観察したときは、草が深くて餌を採るその場面が見えなかったり、泥だらけで餌が見えなかったりしましたが、泥に顔まで嘴をつっこんで餌を掘りとっており、食物がわかった少ない例ではおそらくザリガニなどの動物質を一生懸命食べているように見えました。他の方の話をうかがっても、タニシみたいなものとか、ドジョウみたいなもの、というように動物質の餌生物の名前が挙がってきます。

今回の個体の情報を聞いて、一部のベテランのウォッチャーの方の中には、前に鹿児島の出水で見たからいいや、とおっしゃっている方もいらっしゃるようです。でも、出水のツルは給餌を受けていて特に採餌については100%自然の行動をしているわけではありません。さらに、主な越冬地であるポーヤン湖は(行ったことがないですが、話に聞くところでは)鳥との距離が非常に遠く、望遠鏡で見て、まず白い群がソデグロヅルかオオハクチョウかどうか判断するという感じだそうで、行動や食物を見るような近さではなさそうです。

また、カメラの方の中には、採餌の場面は顔が泥だらけで赤い顔が見えないので、少し離れたねぐらのほうで澄んだ水で洗われた美しい赤い顔を撮る選択をされている方もいらっしゃるそうです。ですが、実は、今の時期に顔を泥だらけにして動物質を一生懸命べている姿こそ、世界のほとんどの鳥好きも研究者も見たことのない貴重な情景なのかもしれません。そう思って、何を食べているか、どんなふうに食べているか、そしてまたどんな場所が好きか、どんな行動をしているか、そういった意識も持ってこの鳥を観察することはきっと有意義なことだろうと思います。


●地元の鳥関係者のご尽力に感謝します

Sign_mannersさて、今回現地に行ってみると、竹を割った看板で、撮影車両に対する指示が表示してありました。

この鳥が日中に現れる餌場は、農道の道幅が車がすれ違えないほど狭い場所です。今回の鳥がみつかった時に心配されたことですが、珍鳥目当ての車が何十台と殺到して何もコントロールがなかった場合、地元の農家の方との間などで不愉快な事態が起こりかねず、そういう事態になった場合は、当の鳥のためにもバードウォッチングの趣味の今後のためにもマイナスになると考えられました。もちろん鳥を追いかけ回すようなことをすれば、鳥のために良いはずがありません。

地元の鳥関係の方にお話をうかがったところ、現地ではさまざまの対応をしてくださっているようです。餌場周辺では、地主さんはじめ地元の方へ「珍しい鳥がいてウォッチャーやカメラマンが多数来る」ことの周知、来訪者に対しての観察撮影してよいエリアや駐車してよいエリアの設定、上記のようにそれについての簡易な看板での表示、マナー違反に対する手分けしてのパトロールなどを行ってくださっているということでした。鳥の情報が広まりだしたのはちょうど正月休みにかかろうという頃でしたので、関係者が正月返上でボランティアでの対応をしてくださったようで、頭が下がります。

Sign_manners01
いくつかの新聞やテレビ等にも報道され、遠くは海外からも含め、多くの方が訪れているようですが、地元の鳥関係者の皆さんのご尽力によって、われわれよその人間が、安心して観察に訪れることができ、また友人知人にも教えることができる状況が作っていただけていることに感謝したいと思います。

(このページ冒頭の画像のみ、2011年12月撮影)

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