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2011年2月22日 (火)

キガシラシトド(2)〜本場(?)アメリカのホオジロ科

Watching_g_c_sparrow千葉県北西部の水辺の草むらに飛んできた珍鳥キガシラシトドを見てきましたので、キガシラシトドの詮索をしています。以下その第2弾です(第1弾はこちら→キガシラシトド(1)〜君は地鳴きを聞いたか?)。 

  
●尾羽の両側が白くない

キガシラシトドはご存じのとおり、ホオジロ科の鳥ですが、日本産のホオジロ科の鳥は、ほとんどの鳥が尾羽の両側が白く、飛ぶとよく目立ちます(少しバードウォッチングをされる方は先刻ご承知のことで、改めて書くのも気が引けますが)。日本の普通種と言えるホオジロ科の鳥で、尾羽の両側が白くないのはクロジだけじゃないでしょうか。珍鳥では、シマノジコなども白くないです。

キガシラシトドは日本で見られるホオジロ科の中では珍しい部類に属し、尾羽の白がないほうに入っています。

前項で書いた地鳴きもそうですが、今回の場所で、ぱっと飛び出した鳥がアオジと紛らわしいときに、この尾羽の白の有無もまた、一瞬の見分けに便利でした。
 
 
●「属」が違う〜本場(?)アメリカのホオジロ科

図鑑でキガシラシトドを見ると学名のところに Zonotrichia atricapilla としてあります。学名の2語のうち、前半が「属」という、種をまとめたグルーピングの名前です。これも普段から図鑑をご覧になっている方は先刻ご承知のことですが、ホオジロ Emberiza cioides、オオジュリン Emberiza shoeniclus、カシラダカ Emberiza rustica など日本のホオジロ科がほぼ全部 Emberiza属(ホオジロ属)に分類されているのと違い、同じホオジロ科ではありますが、Zonotrichia属(ミヤマシトド属)という別のグループに含まれています。

この Zonotrichia属はアメリカの属で、これに含まれる5種のうち、4種は北アメリカに、1種は中米から南米に分布しています。頭頂部にはっきりした模様がある(成鳥)こと、雌雄がほぼ同色であること等でまとまっているようです(これに対し、 Emberiza属は夏羽では雌雄の羽色がはっきりと(または比較的はっきりと)違います)。

世界でホオジロ科がどのように分布しているかを見てみると、旧世界(アジア、ヨーロッパ、アフリカ)に分布する40種のほとんどがEmberiza属であるのに対し、南北アメリカにはこのZonotrichia属をはじめ、50属以上が分布しており、種数にして200種以上にもなります(このほかに、新世界と旧世界にまたがって主に北極圏に分布する、ユキホオジロ属(Plectrophenax属、2種)とツメナガホオジロ属(Calcarius属、4種)がいます)(注)。

ホオジロ科にとっては、旧世界は出店で、南北アメリカこそが本拠地と言えるかもしれません。

今回のキガシラシトドも、ただの珍鳥というだけではなく、ホオジロ科の本場アメリカからやってきた、日本のホオジロ科とはちょっと違ったヤツと思うと一層感慨深いものがあります。


(注)分類は、ハワードとムーアのチェックリスト(第3版)(E. C. Dickinson (ed.),2003. The Howard and Moore Complete Checklist of the Birds of the World. 3rd. ed. Princeton University Press.)によりました。「世界鳥類和名辞典」(山階芳麿, 1986, 大学書林)ではここでいうホオジロ科をホオジロ亜科として、ズキンコウカンチョウ亜科、コウカンチョウ亜科、フウキンチョウ亜科、ツバメフウキンチョウ亜科というカラフルな鳥も含むグループとあわせて大きなホオジロ科に分類しています。

(第3弾「あの女性歌手とつながりが?〜まだまだ(笑)キガシラシトド(3)」に続く)

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コメント

先日はありがとうございました。
ご指摘の通りと確認しました。

撮るのばかりに夢中で、後処理の識別がお留守になります。
このフィールドでもシベリアジュリン、コジュリンが居るようなのですが、もしや!?
やっぱりオオジュリンだったなどとアタフタしています。

trunkさま、コメントありがとうございました。またいろいろ写真を拝見させてください。

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