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2011年2月21日 (月)

キガシラシトド(1)〜君は地鳴きを聞いたか?

Golden_crowned_sparrow_01千葉県北西部の水辺の草むらに珍鳥キガシラシトドが飛んできているというので、アームチェア・バードウォッチャーも2月6日にtwitch(珍鳥の追っかけ)に出かけてきました。

以下、キガシラシトドについていろいろ詮索したことを書きたいと思います。画像は例によってロウ・クオリティ(笑)ですが、まあ文字情報の付け合わせ程度ということでご容赦を。


●日本では記録が少ない

キガシラシトドの本来の分布は、アラスカから北米大陸の西海岸で、繁殖分布はおもにカナダ以北、越冬分布が合衆国とメキシコ北部の西海岸です。

日本での記録はいろいろのブログ等にも解説があるようにごく少なく、「日本鳥類目録」(改訂第6版、日本鳥学会、2000)では、東京(1935)の記録を初記録として、佐渡(1980)、新潟(1986)、粟島(1997)の合計4例の記録しか挙がっていません。

ほかの文献をざっと見てみると、舳倉島(1990)、根室(1988)などという記録も出てくるのと(「日本の鳥550山野の鳥」(増補改訂版、文一総合出版、2004)、「日本の鳥」(M.Brazil,1991. The Birds of Japan. Christopher Helm))、ネット上には、大阪で2006〜2007年に越冬したという画像がでてきますが、いずれにせよ両手の指で足りるほどの例数しかないようで、珍鳥の中でも相当珍しいものと思います。また関東地方では1935年の初記録以来、3/4世紀以上記録がなかったのですね。

こういった珍鳥であることと、今回の場所が首都圏のJRの駅からすぐということもあるのか、そんじょそこらの珍鳥では重い腰を上げない、「もと珍鳥派」も相当出かけたようです。私が出かけた日にもおそらく学生時代に相当熱心に鳥を見たのであろう40〜50代かという白髪交じりのおじさまが、大学生ぐらいの娘さんを連れて、30年程前のモデルの小さなビクセンのスコープと、むかし定番だったニコンのポロプリズム型の8×25とかいう双眼鏡を下げて観察していらっしゃり、微笑ましく、親しみを覚えました。


●地鳴きを知る

この個体は、キガシラシトドの本来の分布地であるアメリカの方が、地鳴きを聞いて最初に気づかれたということを噂で耳にしました。

キガシラシトドは現地では普通種だそうですが、今回キガシラシトドの現場に行かれた方で、日本の普通種の地鳴きを世界中どこで聞いてもとっさに分かる方がどのくらいいらっしゃるでしょうか。たとえばの話、アメリカ西部に旅行してアオジの地鳴きがしたとき、「あ、アオジだ」と言えるでしょうか。

これはなかなか言うは易くして行うは難いことと思います。鳥の識別というのは想像以上に環境や場所と結びついていて、どんなに慣れ親しんだ声や姿でも、全然別の場所で出会うと「アレレ?」と思うものです(もちろん、アレレと思うということは気づいたということですから、あとはちゃんと姿を見て確認するということにつながって行くわけですが、ひょっとすると全然気づかないかもしれません)。キガシラシトドを見つけられたアメリカ人の方は立派なバードウォッチャーと思います。

この噂を聞いたので、私も意識して地鳴きを聞いてみました。なるほど飛ぶときに、アオジの「ツッ」という声の質のまま、少し引き延ばしたような「ツー」という声が聞こえました。言い方を変えると、大型ツグミ類が飛ぶときに鳴く「シーッ」という声をずっとか細くしたような声とも言えます。またオオマシコの「チィン」という地鳴きも少し思い出しました。日本産の普通種では聞かれない声でした。

私が見に行った時、キガシラシトドは、アオジと群になってはいないようでしたが、同じ場所にアオジもいて、それぞれ藪の中から出たり入ったりを繰り返していました。ぱっと見た色彩もアオジ(やクロジ)のメスなどとよく似た印象です。現場で撮影されている方の中には、「ツッ、・・ツッ」という典型的なアオジの地鳴きが聞こえているのに、姿に引きずられて慌ててカメラを構えられる方もいらっしゃいました。ちょっと地鳴きに注意すればわかるのに、と思ったことでした。

なお、北アメリカの図鑑(David Sibley, 2000. The Sibley Guide to Birds. Alfred A. Knopf.)には、私の聞いた「ツー」に当たると思われる声が、「飛翔声は、短くて、高さが一定な、やや短い seeep」として書いてあるほかに、地鳴きとして「大きくて、激しい、明瞭な bink」という声も書いてあります。キガシラシトドの地鳴きをマスターしたと言えるには、こちらのbinkという声も聞いて、アオジやカシラダカの「ツッ」とか「チッ」とか表現される声との違いを探る必要があるようです。


●囀りが聞きたい!

図鑑によると囀りは「Oh dear me(= オウ、ディア・ミー;あらまあ!)」と聞きなされるそうです。冬の間も囀ることがあるような記述もあります。最近の写真の方のブログ等には鳴き声の情報はほとんど出てこないですが、どなたか聞かれた方はいらっしゃるでしょうか。


(第2弾「キガシラシトド(2)〜本場(?)アメリカのホオジロ科」へ続く)

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コメント

こんにちは。トラックバックしようとしたのですがうまくつきませんでした。なので普通にリンクしたこと、お知らせします。

こんにちは。鷗舞時、いつも拝見しています。トラックバック(リンク)ありがとうございます。トラックバックはこちらで承認待ちになっていたようです。ただいま承認しましたので、これでできたのではと思います。

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Golden-crowned Sparrow first winter/first summer 110205/0410 Japan. キガシラシトド第1回冬羽~第1回夏羽110205-0410千葉県。2枚ごとに、上は2011年4月10日に、下は20011年2月5日に撮影した。2ヵ月の換羽の状況がよくわかる。頭部の変化は劇的だ。2月は、頭頂前方は褐色味のある黄色で、頭頂後方に比較的明瞭な褐色縦斑が密にある。頭側線は暗褐色で黒くはない。過眼線がかすかに見える。目の上...... [続きを読む]

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