« キヅタアメリカムシクイのキヅタとは? | トップページ | 行列のできる水浴場 »

2010年8月24日 (火)

カニ優先

Kani_yusen00_25月の連休に伊勢志摩を旅したときに見た看板です。

文面は「かに優先。ご協力お願いします。相差町観光協会」となっています。

この旅行では伊勢から車で太平洋側に山越えをして、志摩から鳥羽方向を回って伊勢に戻りました。太平洋側に出てからは、海の景色を見ようと考え、カーナビの目的地に適当に海辺のポイントに設定したのですが、パールロードといういかにも景色の良さそうな名前の新しい道より、もっと海沿いの道をカーナビに指示されました。地元の人以外はカーナビがなければとても来ないと思われる、走っていて心配になるような細道でした。

そうやって通りすがった、相差(おおさつ)町(三重県鳥羽市)というところの道でこの看板を見つけたわけです。

こりゃなんじゃ?「カニ優先」とありますが、田舎道に看板が1本あるばかりでカニなんか1匹も見えません。テレビでクリスマス島(インド洋)のカニ(和名はアカガニでよいのかな?)が大挙出てくるシーンを見たことがありますが、時期が訪れるとそういう光景がここで起こって、車道をカニが横断したりするのでしょうか。

帰宅後、ネットで調べてみると、推測は当たっていて、相差民宿組合のウェブサイトに、カニはアカテガニで、通常は陸地に生息しているが、夏の特に大潮の夜に、産卵のため海に向かうといった解説が書いてありました。大潮の夜に、アカテガニが道路を横切るのですね。

「この辺の民宿ではエビよりカニを食べるように」とかいう話でなくてよかった(^^)。などと馬鹿を言いながらいろいろとネット検索した結果、アカテガニの分布は東アジアで、日本では本州以南、南西諸島まで生息すること、「産卵」は、はおもに夏の大潮の夜に、雌が海岸に集まって行われること、卵は海に放たれた瞬間に破れてゾエア幼生という子供が出てくるので「放仔(ほうし)」と呼ばれること(そういえばゾエア幼生とか昔学校で勉強したなあ)、関東地方では三浦半島の小網代が有名で、大潮の夜には多数のカニが観察でき、観察会やパトロールがが行われていることなどがわかりました。

アカテガニはふだん陸上の森林に生息しており、海辺で放仔するので、森林と海辺がセットになって良好に保たれていることが生息のために必要だそうです。小網代は源流から海まで自然の状態にある集水域として貴重なもので、アカテガニを象徴にかかげた保全運動によって大規模開発計画は中止となり、70ヘクタールの地域が守られたそうです(岸由二「アカテガニが守った森。大規模開発計画中止へ」

小網代の森のアカテガニについては、NHKの自然番組「ダーウィンが来た!」のウェブサイトの、「森に棲むカニ 大行進」「取材ウラ日記 小網代の森編」が沢山の画像をつかってわかりやすく興味深く見ました。

そう言われてみれば相差町もよいところで、木の覆い被さったトンネル状の道が続いて、なんにも珍鳥なんかいそうじゃないですが、海のすぐそばというのにクロツグミが囀っており、ドライブしていると、道路から飛び立つそれらしい後ろ姿も何度か見ました。

おそらく小網代と違い、相差町のアカテガニの放仔を観察に来る人などほとんどいないに違いありません。関東在住の人間としては有名な小網代で観察するのがてっとり早いのでしょうが、こうして人知れず立っている看板を見てしまうと、ぜひもういちど出かけて相差町で放仔を見てみたいものだと思いました(ただし、海岸は結構急な斜面で林が密生していますので、実際に水辺での放仔まで観察しようとすると、観察場所の下見が必要かもしれません)。

« キヅタアメリカムシクイのキヅタとは? | トップページ | 行列のできる水浴場 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/94469/36326868

この記事へのトラックバック一覧です: カニ優先:

« キヅタアメリカムシクイのキヅタとは? | トップページ | 行列のできる水浴場 »

最近のトラックバック

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31